研究概要 |
交付申請書の「研究の目的」および「研究実施計画」において、本年度の主な研究テーマとしてあげた次の問題: (1)楕円曲面の整点の研究とグレブナ基底(2)フェルマー曲面上の代数的サイクル(3)モーデル・ヴェイユ格子から生ずるガロア表現 についての研究をかなり大幅に進展させることができた。下記「研究発表」欄に記した発表論文を順に[1],[2],[3],[4]として引用する。 (1)楕円曲面上の整点の有限性(ジーゲルの定理の類似)をモーデル・ヴェイユ格子のハイト公式を用いて確立した。これをもとに底曲線が射影直線の場合に「整点スキーム」の概念を導入し各整点の「重複度」を定義し、基本的な問題を提起した。そして有理楕円曲面の場合にはモーデル・ヴェイユ格子の構造と例外的ルート格子E_8についての知見を用いることにより、これらの問題を完全に解決した。とくに整点の重複度を完全に決定した。この結果は、整点のイデアルのグレブナ基底の計算などに、興味深い応用をもつ。[1],[2]. (2)フェルマー曲面のネロン・セヴェリ群の生成元についての既知の結果「曲面の次数mが6と互いに素のときは、有理数係数では直線が生成元となる」ことを精密化して、本研究においては、「mが6と互いに素かつ100以下のとき、フェルマー曲面のネロン・セヴェリ群が直線達によって整数係数で生成される」ことを証明することに成功した。[3]. (3)ワイル群W(E_8)をガロア群とする整数係数多項式の具体例を構成した。[4].
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