研究課題
1.モーデル・ヴェイユ格子から生ずるガロア表現および代数方程式について.半安定な有理楕円曲面の族に対応する乗法的理論を、E_6の場合に確立した。既知の加法的理論においては、ワイル群の基本不変多項式が有理楕円曲面の族のパラメータを与えるが、乗法的の場合は、ワイル群のローラン多項式の基本系を用いて族のパラメータ表示が与えられる。その結果は、数論的ないし代数幾何的応用とともに、昨夏ドイツ、オランダでのワークショップで発表した(次項〔学会発表〕を参照)。古典的なトピックである「3時曲面と27本の直線」についての応用は、一方ではE_6のワイル群(位数51840の有限群で位数2の単純群をふくむ)をガロア群とする整数係数27次多項式の具体的構成を与え、他方では27本の直線すべてが有理数体上定義されるような3次曲面の一般的構成法を与えた。このようにして、代数幾何と数論にまたがる古典的話題に新たな知見をもたらすことができた。2.フェルマー曲面上の代数的サイクル。(1)マチアス・シュットおよびロナルド・ヴァン・ルイクとの共著論文(フェルマー曲面の次数が6と互いに素かつ100以下のとき、そのネロン・セヴェリ群が直線によって厳密に生成されることを証明した)が出版された。(2)またフェルマー曲面上の代数的サイクルが再び注目されていることをうけ、すべての次数について(有限個の例外的場合を除いて)、標準的なサイクルの構成を与えた青木-塩田(1983)の論文の一部訂正と拡張を含む論文を出版した。ともに、次項〔雑誌論文〕参照。3.楕円K3曲面の整点の問題については、有理楕円曲面の場合とは異なり、まだ全貌を把握する段階に達していない。整点の個数やその重複度の挙動について次年度も研究を継続したい。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Journal of Number Theory
巻: 130 ページ: 1939-1963
Advanced Studies in Pure Mathematics
巻: 60 ページ: 51-160
Comment.Math.Univ.St, Pauli
巻: 59 ページ: 65-75