研究概要 |
本研究はsplice-quotient特異点を中心に,基本的な解析的不変量と位相不変量の関係を詳しく調べ,明示的な関係式を与えることを目標としている. Splice-quotient特異点は,リンクがホモロジー球面であり,その普遍アーベル被覆の定義式の主要項が特異点解消グラフ(リンクと同値な情報)によって組み合わせ的に決定されるような複素2次元特異点である.それは特殊な複素構造を持つのであるが,有理型特異点,最少楕円型得点,weighted homogeneous特異点とその同特異変形を真の部分クラスとして含む比較的広いクラスを構成する. 本年度は埋め込み次元と重複度に関する次の結果を論文にまとめて投稿した. 1.weighted homogeneous特異点の埋め込み次元が一般には位相不変量ではないことを示し,その不変量が位相的になるための簡明な十分条件を与えた(研究協力者A.Nemethi氏との共著,受理済み). 2.splice-quotient特異点とその普遍アーベル被覆,またそれらの中間にあるアーベル被覆の重複度は位相不変量であることを示し,グラフから計算するための手続きを示し,具体的な計算例を与えた. 科研費補助金を活用し,研究成果を発表するためにストラスブールで行われた日仏特異点セミナーをはじめとする複数の研究集会に参加し,ハンガリーにおいて研究協力者と共同研究を進めることが出来た.
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