研究概要 |
本年度は平成20年度から3年間の本研究の最終年度であり,これまでの研究の集大成と整理することを目標のひとつにした。昨年度(平成21年度)に引き続き,斎藤自由因子に沿って特異点を持つ積分可能な接続,一意化微分方程式を構成する問題,また一意化微分方程式の解を求める問題を主要な研究対象とし,いくつかの成果と知見を得た。大きく分けて3つのテーマに分けられる。いずれもがこの数年間継続して研究してきたものである。第一のものは,階数3の既約複素鏡映群の判別式集合に沿って特異点を持つ一意化微分方程式の分類である。特にShephard-Toddの論文の番号ではNo.23,24,27である3種類の複素鏡映群の場合を扱った。このテーマは数年間にわたり継続してきた琉球大学の加藤満生教授との共同研究であり,論文にまとめることができた(現在投稿中)。第二のものは,平面曲線のE6,E7,E8型特異点の1-パラメータ変形であるようなアフィン3次元空間の斎藤自由因子に特異点を持つ一意化微分方程式の分類である。このような斎藤自由因子には上記の3種類の判別式集合を含んでいる。これも数年間にわたり調べてきたことであり,その成果をSystems of uniformization equations along Saito free divisors and related topicsにまとめた。これはすでに出版されたシドニー大学でのワークショップの報告集に掲載されている。第三のものは正二面体群から構成されるアフィン3次元空間の斎藤自由因子の場合の一意化微分方程式の解の構成である。この成果はKumamoto Journal of MathematicsとJournal of Mathematical Sciences(2011)に発表した。
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