研究概要 |
Brown,Szczarbaによる写像空間の有理モデル(B-Sモデル)と研究代表者により構成された評価写像モデルを用いて,研究計画で述べられた3つの問題を考察してきた。21年度までの2年間の考察が実り,c-シンプレクティック多様体Mに対して得られる分類空間Baut_1(M)の特性類であるKedra-McDuff類に対してB-Sモデルによる解釈が与えられた。これによりMのコホモロジー環が単生成である場合はBaut_1(M)の有理コホモロジーはKedra-McDuff類で生成される多項式環であるという定理を得た。さらにファイバーが完全交叉代数である場合にファイブレーションのLeray-Serreスペクトル系列が第2項で潰れるというHalperin予想に関連した結果も得た。具体的にはこの予想が肯定的に解決されるための必要十分条件をB-Sモデルの言葉で記述することことにより,コホモロジーが完全交叉代数である空間Mをファイバーにもつ普遍ファイブレーションの全空間のコホモロジーをBaut_1(M)のコホモロジー環上の代数として決定した。これらの結果は論文として出版された(研究成果参照)。これにより研究目的の1つが達成できたことになる。さらに,本研究過程で得たアイディアをもとに,連結な等質空間M=G/H上の自己ホモトピー同値写像のっくるモノイドの恒等射連結成分aut_1(M)を考え,Lie群Gのaut_1(M)における有理可視化問題を熟考した。その結果,Gが可視化可能であるための必要十分条件が得られ,この認識原理に基づき具体的な等質空間に関して可視化次元を決定した。これらの結果は論文[K1]においてまとめられた。これにより第2の研究目的も達成できたことになる。 [K1]Rational visibility of a Lie group in the monoid of self-homotopy equivalences of a homogeneous space, to appear in Homology, Homotopy and Applications.
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