研究課題
断面曲率が0以下である単連結リーマン多様体の測地線は平面上の直線と同様に非有界で無限遠に発散することが知られており、この性質は負曲率多様体を考察する上で非常に重要な手がかりを与える。この手法を負曲率ケーラー多様体に適用するために、複素構造の方向に磁界が働く中での荷電粒子の運動であるケーラー磁場による軌道を考察する。この軌道の発散性と多様体の断面曲率との関係を調べるために、一点から出る長さrの軌道弧の終点の集合である軌道球面を考えて、その面積要素の挙動を考察した。まず複素双曲空間においては対称性が高いために軌道球面は半径に関してある換算を行った測地球面に一致し、面積要素を具体的に表示することができる。一般のケーラー多様体については複素方向のゆがみが生じることになるのでこれを表現する必要がある。測地線に沿ったヤコビ場の場合と異なり磁場ヤコビ場は軌道方向の成分が独立してはいないが、面積要素は1次独立な磁場ヤコビ場達の内積を成分とする行列の行列式により表示できることがわかり、行列式の性質により軌道方向の成分を除外することができた。この結果断面曲率の上からの評価の下、またリッチ曲率の下からの評価の下で面積要素の変化率に関する評価を得ることができた。
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