研究概要 |
研究代表者の上は3,4次元多様体のトポロジーの研究を継続した.特に3次元多様体の中でも有理ホモロジー3球面と呼ばれるクラスに対して定義される2つの不変量,Heegaardフレアホモロジー由来のOszvath-Szaboの不変量とSeiberg-Witten理論由来のFukumoto-Furuta不変量の関係を研究した.2009年発表の論文で3次元球面多様体に対しては両者が一致することを示した.その後この結果を拡張し,ある条件をみたす4次元鉛管多様体の境界となる3次元グラフ多様体の場合にも一致することを見いだしpreprint M.Ue, The Ozsvath-Szabo and the Neumann-Siebenmann invariants for certain plumbed 3-manifolds,にまとめたが,これをより広いクラスの多様体に対して拡張できるかどうかを引き続き研究中である.上記の不変量についてはStipsitzが有理特異点のリンクとなる3次元多様体に対して両者が一致することを示しているが,上記のプレプリントの結果はそれとは独立に得られたものであり,より直接的に関係を記述するものとなっている.ただしこの2つの不変量は一般には一致しないことが知られており,その相違を解明することはSeiberg-Witten理論とHeegaardフレアホモロジー理論の関係を知る上でも重要であり今後の課題である.また4次元多様体のトポロジーについて古典的結果から最新の成果までを包括的に取り扱うテキストを執筆中であり,その中でHeegaardフレアホモロジーなど最新の理論の視点から既知の結果も統一的に扱う視点から理論を記述し,今年中に完成することをめざしている 研究分担者の加藤毅は4次元トポロジーにおけるCassonハンドルやある種の力学系の解析的観点からの研究を行い,藤井,加藤信一,宇敷はそれぞれ双曲幾何,表現論,力学系に関する研究を継続した
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