本研究の目的は、実解析的特異点に対する自然で望ましい同値関係として導入されたブロー解析同値と他の同値関係との相互関係を明らかにすることである。ブロー解析同値とリプシッツ同値の相互関係として、ブロー解析同値だがリプシッツ同値でない例を構成するため、海外協力研究者のL.Paunescu教授と、部分解析的集合の接方向集合の共通部分の次元がリプシッツ不変量になることを示し、Annales de l'Insitut Fourierより出版した。更に、この結果を、Paunescu教授、連携研究者の塩田昌弘教授、ベトナムのTa Le Loi教授と共同で、一般の実閉体上のオーミニマル構造の定義可能集合に対するリプシッツ不変量として一般化した。現在、その共著論文は投稿中である。 また、平成21年8月後半から9月末までの研究代表者のシドニー大学訪問中に、上記の結果を証明するための道具として導入した点列選択性性質(Sequence Selection Property)についても、Paunescu教授と研究を進め、この性質を満たすカテゴリーにおけるTarski-Seidenberg型定理を始めとする多くの基礎的な結果を証明した。これらの結果についても、共著の論文としてまとめている。それらの結果を基盤として、SSP幾何学と呼ぶ新たな幾何学の構築を目指し、現在も研究中である。 以上の研究結果や関連する特異点研究の成果や意見交換の場として、連携研究者や他の特異点研究者も集めて、平成22年1月に兵庫教育大学神戸サテライトで研究会を開催した。
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