2元生成自由群のcharacter varietyについて考察を行った。特にdiagonal sliceと呼ばれる特別な部分集合上におけるpleating rayの類似物に関して、計算機実験を行ない、古典的な対応物との類似点および類似していない点などの観察を行った。これによりこれまで研究されていなかったsliceにおいても新たな座標系に近いものが得られることが期待される。また同じく2元生成自由群のcharacter varietyにおいて最近導入された原始安定という概念についても計算機実験を行い、これまで調べられてきた擬フックス群やQ条件と呼ばれるものとの関連について考察を行った。 グラフ理論における有限平面被覆および有限平面模倣との関係について、アーカンソー大学のヨアフリエック氏と共同研究を行った。グラフのある有限模倣が平面的である場合、つねに有限平面被覆を持つかという問題が1980年代に定式化され、近年まで未解決であった。研究者の間での共通した予想としては、反例は存在しないというものであったが、本格的な研究はこれまでなされてこなかった。しかし、本研究においてその反例を構成することに成功した。また、直接の予想の反例ではないがグラフの平面被覆に関する根上予想に関連して注目されているグラフについても、有限平面模倣を構成することに成功した。この結果は雑誌論文として発表されている。
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