研究概要 |
2元生成自由群から特殊線形群SL(2,C)への表現空間の商空間である指標多様体に関する研究を行った。指標多様体の性質を調べる上では、これまで幾何学的なアプローチが主流で、指標の離散性等が詳しく調べられてきた。それに対して、近年力学系からの視点を用いた研究が開始されつつあるが、具体的な計算などはほとんど行われていないのが実情である。本研究代表者は、原始安定と呼ばれる力学系的な性質を指標が持つかどうかを判定するための部分的なアルゴリズムの構築を行った。さらにそれを計算機上に実装し、予備的な計算機実験を行ない、結果を研究会で報告した。 3次元多様体の複雑さを図る指標には様々なものが提案されているが、分岐被覆と双曲体積を組み合わせたlink volumeという概念を米国ヨアフリエック氏と導入し、基本的な性質に関する研究を行った。任意の3次元多様体は球面内の結び目で分岐する球面の分岐被覆として表示することが可能である。結び目として特にに双曲結び目を常に選ぶことが可能で、その場合は結び目の複雑さとして双曲体積を考え、それと被覆の次数の積がこの表示の複雑さと考えた。表示の与え方をすべて考えその下限としてlink volumeを定義した。基本的な性質と共に研究会で報告を行った。
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