研究概要 |
本研究の最終年度である平成22年度では,一般にリーマン対称空間ではないが様々な幾何学的不変量が計算可能なリーマン等質空間の典型的な例である「左不変計量をもつ3次元ユニモジュラーリー群」上のグラスマン幾何に関するこれまでの研究成果の分析に基づき,リーマン対称空間上のグラスマン幾何的曲面論を構築することを目標にし,そのため,研究分担者を始めとする多くの関連研究者たちと意見交換を重ねてきた。その結果,本年度の成果として,次が挙げられる。 (1)3次元ユニモジュラーリー群上のグラスマン幾何に関する継続研究で準備中であった論文「Grassmann geometry on the 3-dimensional unimodular Lie groups II」の草稿が終了し,現在Hokkaido Math.J.に投稿中である。これによって,ユニモジュラーリー群については,課題解決に至った。 (2)本研究の関連研究として行われ,前年度に学会発表された共著論文「Real hypersurfaces with φ-invariant shape operator in a complex projective space」(下記[雑誌論文]欄に掲載)が2010年12月よりオンライン公表されている。本研究は,複素射影空間の超曲面の幾何学研究に,「φ-不変性」という新しい概念の有意性を与えたという点で重要である。 (3)リーマン対称空間上のグラスマン幾何に関しては,本研究を通して,具体的な問題解決プログラムを策定することができた。(プログラム内容については,下記の[学会発表]欄に掲載の研究集会の講演記録集に掲載)本研究においては完全な課題解決までに至らなかったが,このプログラムによって,課題解決のための視点が明確になり,今後の継続研究によって完全な解決が期待できる点で有意義である。
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