研究概要 |
今年度の研究成果は乏しい.講座主任を留任し教室運営業務に多大な時間を取られた事が原因である.交付申請書の目的,計画と照らして今年度を顧みる.(1)の山辺不変量についての進展はなかった.(2)体積要素を不変にするアファイン接続でリッチ曲率が定符号であるものの存在・非存在問題についても進展がなかった.(3)Schwarz微分を用いて,「展開写像が単射な正則曲線が自己交点を持たない」と言う性質を持つコンパクトなリーマン多様体は非常に限定されるであろうと言う事が,昨年度の成果としてあったが,これについてはこの予想を支持する形でさらに例を見つけだすことに成功した.しかし論文にまとめるほどの完成度がない.今後さらに考察を続けたい.(4)閉曲面上の正則ホモトピー不変量の共形微分幾何的解釈については,定式化はほぼできている.しかし基本定理の証明に不備がある事が昨年度の研究で明らかになり.研究は停止している.以上,今年度は「数学の講究に於いて何よりも必要な,妨げられざる,切り刻まれざる時間」の不足に悩んだ.しかし研究をなおざりにしていた訳ではなく,正式な論文等の発表はないが,積み上げた研究成果を講義資料と言う形でホームページにアップロードした.研究計画については以下の通り.まず研究連絡,情報収集の目的での出張が予定していたよりも少なくなり,計画通りには行かなかったが,それでも一定の成果はあった.図書の購入も大変助けになった.また最も意義があったのは研究用のデスクトップパソコンの更新ができたことである.それまであったものが耐用限界に近かったこともあり,計算機環境の改善は研究環境の改善に直接結びついた
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