研究分担者 |
與倉 昭治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (60182680)
愛甲 正 鹿児島大学, 理学部, 教授 (00192831)
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (00325763)
伊藤 稔 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (60381141)
赤堀 隆夫 兵庫県立大学, 大学院・物資理学研究科, 教授 (40117560)
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研究概要 |
本研究は,孤立特異点のモジュライの観点の下に,その境界上の多様な構造のモジュライを研究するものである.平成20年度は,次のような考察を行った.横断的対称性を持つ強擬凸CR多様体上では,CR構造の任意の微小変位は標準実接触構造下のCR構造と同型であることが知られている.従って,固定された実接触構造に同調するCR構造の変形空間を考察すれば,一般性を失わず,より幾何構造に沿った変形理論が構築できる.これは,固定した実シンプレクティック構造下での複素構造のモジュライ空間が偏極ケーラー構造のモジュライ空間を与えたケーラー多様体論の境界版と位置づけられる.この観点から,横断的対称性を持つ強擬凸CR多様体上で,固定された実接触構造に同調するCR構造のモジュライ空間の考察を行い,moment写像構成へ向けてのWebsterスカラー曲率の変分公式を導いた.また,特異点解消の変形空間の解析的構成を完成させ,CR構造を中心とする境界幾何構造のモジュライと特異点解消のモジュライとの関連をつける道を開いた. 一方,赤堀隆夫(分担者)は,CR構造のモジュライの詳細な研究を進め,CR構造の全ての変形族は,標準的な方法で構成した倉西完備族からハミルトン流に沿った同型写像によって引き起こされることを示している.小櫃邦夫(分担者)は,開リーマン面のモジュライ空間のTakhtajan-Zograf計量の詳細な解析を進め,その漸近境界挙動を明らかにした.さらに,本研究と関連して,特異多様体の不変量,複素フィンスラー空間の接続,表現論に於ける不変包絡環の中心元,等に関する成果が研究分担者によって得られている.
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