研究概要 |
3次元多様体の実係数2次元homology群のThurston normに関する単位多面体を計算することが一つの大きな目標であった.円周上の閉曲面束については,そのmonodromy微分同相をDehn捻りの積の形に表したとき,それらのDehn捻り達のデータから全空間の2次元homology群を計算することがまず問題となる.その為に繊維曲面の1次元homology群の基底を指定しておき、monodromy準同型(monodromy微分同相の誘導する1次元homology群上の同型写像)の固有値1の固有ベクトルを計算し、その固有ベクトルを代表する1輪体から全空間内の有向閉曲面を構成する.その構成の為には古典的結び目のSeifert曲面を構成する為の所謂Seifertのアルゴリズムを援用する.構成された曲面がThurston norm minimizingであることを示す為にD.Gabaiによる縫い目付き多様体論を用いる. 以上の計算方法の正当性に関して,まだ若干の問題があり,現在も細かい検証を行っているが,同様の議論により回転可能葉層についても計算可能であると期待される. 回転可能葉層に関するThurstonの不等式については,その一部を2007年にRio de Janeiroで開催された国際会議Foliations, Topology and Geometry in Rioに於いて発表したが,そのproceedingsがアメリカ数学会出版のContemporary Mathematicsの一巻として出版され,そこに本研究に関する二編の論文が掲載される事が決定した.
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