研究概要 |
非可換微分幾何学,特に量子論を視野に入れた幾何学の建設は最近特に注目されていているとはいえ,なかなか数学の世界には浸透しきれていない.その主な理由は数学は歴史的に論理関係にのみ注目しており,因果関係のような時間概念を含む関係に注目してこなかったことにある.現実の事象を扱う科学は数学を思考道具としては使うが,扱うものはほとんどの場合,因果関係であり,暗黙の了解事項として因果関係を論理関係に置き換えて数学の論理を応用している.このようなこと,特に時間に関することに注目してもらうべく.一般向け著書として「幾何学への新しい視点」(遊星社)を出すとともに,*-積に関するやや奇妙な,しかし注目すべき結果が得られているので,それについて次のような研究集会で講演した. 「リー群とその関連分野」(信州大学,10月)*-積で作る2次式の指数関数とこれが生成するリー群. 「秋田研究集会」(秋田大学,11月)*-積で作る接触代数の量子化. 「金沢研究集会」(金沢シテイカレッジ,12月)*-指数関数の定義する微分差分方程式について. 「沼津研究集会」(沼津高専),3月)*-ゼータ関数. これは,パラメーターの-方向きにのみ-意的になり,逆向きには多価になってしまうという奇妙な1径数部分群で,これが普通の微積分の代数を少し超越的に拡大した所に含まれているという新しい発見である.
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