閉じた滑らかな多様体上の非特異なベクトル場Xは与えられた滑らかな関数gに対し、X(f)=g+(定数)を満たす関数fをもつときにパラメータ剛性をもつという。その例としてはトーラス上の線形ベクトル場で勾配がDiophantus条件をもつものがあげられる。これ以外にパラメータ剛性をもつものはあるだろうかという問題は、長年の懸案であった。これに対し、向き付け可能3次元様体上のパラメータ剛性をもつ非特異ベクトル場は(可微分同相による共役を法として)3次元トーラス上の、勾配がDiophantus条件を満たす線形ベクトル場に限られることを示した。 コンパクト空間上の層構造で各葉の上に滑らかなリーマン計量が与えられたものを考える。このとき層構造は調和測度を持つことが知られている。調和測度が与えられるとき、ほとんどすべての葉の普遍被覆上に正の調和関数が定数倍を除いて定まる。いま各葉は双曲的であると仮定すれば、この調和関数は無限遠境界上の確率測度に対応する。この確率測度は特異であることを示した。また調和測度がエルゴード的の場合、その測度は、ほとんどすべての葉に対し、Dirac測度となるか、さもなければ、ほとんどすべての葉に対し、台が無限遠境界全体になることを示した。これは層構造は性格の正反対な二つの種類に分かれるということであり、この分野に、新たな問題を提起するものである。
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