2009年度に報告した1次元ペアノ空間の基本群とホモトピー型に関する論文[2]の改訂を行い、結果を精密化した。この結果1次元ペアノ空間のホモトトピー型が基本群で決定されるという、ほぼ最終的な結果に到達した。 一方、2次元のペアノ空間は1次元に比べはるかに複雑であることが予想されるものの、非可縮性をホモトピー群の非自明性以外から導くことが困難であることが、ここ数年の、U.Karimov(タジキスタン)、D.Repovs(スロベニア)らとの共同研究でわかってきている。その結果、「すべてのホモトピー群が自明となる2次元のペアノ空間は可縮であるか」という問題の研究を始めた。 野性的1次元ペアノ空間は負曲率幾何の極限空間に現れる。極限空間の構成は色々なものがあるが、研究代表者は超準解析との関係の深いAsymptotic Coneを対象としており、その基礎的研究を図書「数理論理学(使い方と考え方)内田老鶴圃」のなかで行った。 2009年度の研究の継続として、川村一宏(筑波大)と論文[1]の関連の共同研究をした。 これらの研究と少し異なったものではあるが、非可算無限の関係する幾何学として、連結完備全順序空間の有限直積の研究を行った(これは研究代表者の研究室に属する大学院生(上條良介)との共同研究である)。Lを連結完備全順序空間で、共終数あるいは共始数が非可算となる点が稠密であるとする。このとき、Lの有限直積の空間の自己同相写像は一次元の同相写像の組合せだけである。つまり、座標軸は各々他の座標軸に写る(この結果は現在論文にまとめている)。
|