今年度の成果は下記の通りである。 1 HegenbarthとRepovsは"Solving 4-dimensional surgery problem"という論文において、4次元の滑らかな多様体の間の次数1法写像の手術障害類が消えており、さらにあるホモロジー群が消えているときに、制御手術理論とアセンブリ写像を用いて、手術が可能であることを主張した。研究代表者とQ. Khan氏は共同で、彼らの論文を詳しく調べ、いくつもの深刻なギャップがあることを見いだした。ギャップを埋めるべく、Khan氏と議論を重ねたが結局修正することはできなかった。彼らの主張する定理は研究代表者やKhan氏のそれぞれの結果を拡張する形であり、成り立つことが望まれる。来年度もこれに関してはよいアイデアを探っていく。 2 Khan氏と共同して、離散群Γとその部分集合の族Fが与えられたときのアセンブリ写像と手術完全列の候補を作った。Fが自明な場合はPedersen-Ranicki-Quinnらの局所基本群が自明な場合の制御手術になり、Fがすべての部分群全体の場合には古典的な手術完全列(局所基本群を忘れる)になる。これがうまくいっていることが確かめられれば、古典的な手術列と制御手術列の統一理論となるはずである。来年度は、Khan氏に岡山に2週間滞在していただき、継続して研究を進めることになっている。また研究代表者のドイツ出張に際して、Khan氏とさらに議論を続ける予定である。
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