本年度はアセンブリの最も単純なものとして、ベクトル場の指数に関するポアンカレ=ホップ型の定理に関して研究を行った。通常孤立特異点のみを持つベクトル場について考えるが、我々はより一般に次のような設定を行った:考えている多様体はコンポクトで向きづけられており、境界をもつ。ベクトル場vに対しそれを境界に制限したものを∂vと書く。vの零点と∂vの接成分の零点(つまり∂vが境界に垂直になる点)の全体をZと書く。Zが互いに正の距離をもつ有限個の部分集合族Z(i)に分かれることを仮定する。このとき各Z(i)に対し、vのZ(i)における局所指数I(Z(i))が定まる。これはZ(i)が多様体内部の部分集合ならば整数値であり、そうでなければ整数値か半整数値をとる。これらの局所指数の和をvの指数といいI(v)で表す。 定理:多様体の次元が偶数であるならば指数I(v)は多様体のオイラー標数に等しい。 つまり局所指数をアセンブルすることによりオイラー標数という広域的な不変量が得られる。また、vの零点と∂vの法成分の零点(つまり∂vが境界に接する点)の全体Z'に関する形の定理も得られる。 さらにZやZ'が有限個の孤立点からなる場合に局所指数を書き下す公式も得た(これは構宏章との共同研究)。
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