測度確率過程論の中で1つの特異なクラスを形成する、空間依存型パラメータをもつ分枝マルコフ過程の極限定理について研究をおこなう。 (1)環境の善し悪しに応じて分枝率および分枝時間が変化する状況を記述できるモデルとしてのランダムな分枝粒子系から導出される空間パラメータ依存型の測度値分枝マルコフ過程について、長時間漸近挙動としてのある極限定理の導出を目指す。 (2)特異な係数をもつ特異超過程(上記測度値確率過程の1種)に関して、長時間漸近挙動を示す極限定理の導出を目指す。たとえば、超過程の特徴付けに出現するログ・ラプラス方程式の言葉で表現すれば、その1次の係数関数をDirac のデルタ関数(シュワルツの意味での超関数)に変えた場合が、上述の特異係数に当たる。 (3)これらの数学モデルは、その性質から自然に生命科学の研究対象である生化学や生理学における触媒作用やフィラメントの薬物反応と対応が付けられる。これら生命現象の簡潔な数理モデルとして、上述の超過程による確率モデルを提案して、その方面への応用を図る。
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