平成22年度は、リーマンゼータ関数の特殊値と確率論の関係について引き続き研究を行った。 リーマンゼータ関数の特殊値(特にバーゼル問題zeta(2)=\pi^2/6)を初等確率論の手法で求める。2つの独立なコーシー分布の商、逆正弦分布の商、指数分布の商、ウィグナー半円分布の商のすべてでバーゼル問題、リーマンゼータ関数に関するオイラー公式が導き出せる。また、ルジャンドル展開の手法でもバーゼル問題が解けることや、関連話題についても論じた。この結果を2010年9月に京都大学数理解析研究所で開かれた国際シンポジウム(Number theory and Probabihty)、11月に京都大学理学部で開かれた関西確率論セミナーと統計数理解析研究所で開かれた研究集会(無限分解可能分布論とその応用)、12月にチリ、プコンにおいて開かれたSchool on Randomness and Information、1月に一橋大学で開かれた解析研究会で発表した。また、論文2編(うち一編は京都大学矢野裕子助教との共著)はThe Institute of Statistical Mathematicsが発行するCooperative reserach reportで公表した。また、金融数理保険数理への応用に関する研究については、一橋大学の石村直之教授との共著である「離散伊藤公式」がAdvances in Mathematical EconomicsにAcceptされ、平成23年度に印刷される予定である。
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