拡散結合系での多様な動的パターンの大域的分岐解析手法の確立とパターンの予測・制御が本研究の目的である。特に、動的パターンの現れる振動場拡散系に着目しそこで起きるウェーブ不安定化による分岐解析を中心に行っている。その際に解が多重ホップ分岐で生じるのでトーラス型の分岐構造の追跡が必要になる。1次元円周上での問題の場合でも、回転波だけでなく定在波や異なるモードの含まれる変調波などの擬似回転波が発生する。このようなものはSO(2)対称な不変トーラス上の軌道として現れる。とれらの結果を「非線形現象と微分方程式パターンダイナミクスの分岐解析」として本にまとめ出版した。今年度はさらに、細胞極性の出現に関するモデルの定常解の分岐を調べて、非一様定常解から振動解が現れることを見いだした。このことは龍谷大学の森田氏との共同研究であり論文を発表した。また非一様定常解からのホップ分岐は、3重退化分岐としてより一般的に捉えられることを、関西学院大学の奥田氏と詳細にわたり議論している。これは、現在も進行中の研究で来年度も引き続き取り組む予定である。
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