研究概要 |
研究実施計画の役割分担に従って,下記の研究成果を得た. 1.フィボナッチ列は1次元の準周期タイリングである.このタイリングは射影法と呼ばれる構成法によっても得られる.タイリングの局所配置を調べることにより,構成を制御するWindowと呼ばれる有界集合はフィボナッチ列の自己相似性に対応するフラクタル構造をもつ.これがさらに2次無理数の設定の1次元の準周期タイリングまで拡張されることを示した. 2.ユークリッド平面の場合と同様に,双曲平面タイリングにおいて考えられる非周期性の4つの定義の関係をフックス群に関して知られている結果を用いて完全に明らかにした。非周期双曲平面タイリングの具体例はあまり構成されていないが,これを用いてさらに数多く非周期双曲平面タイリングの具体例を環状拡大という構成法により構成した. 3.分子の立体構造を調べるために,n個の環状炭化水素分子の数理モデルを与え,その配置空間のトポロジーを研究した.以前に設定した数理モデルとして満たすべき条件に見直しを行ない,配置空間の形の決定するための直接的な証明を与えた.またパラメータを単純化し,コンピュータによるシュミレーションにおける計算量を軽減することが可能になった. 4.固体物理の実際の準結晶構造において回転対称性をもつものが特に重要であると考えられている.回転対称性をもつタイリングの構成法の定式化と7回回転対称性をもつDanzerタイリングがあるが,その局所配置を詳細に調べることにより,Penroseタイリングとの比較を行ない,substitution ruleという構成法のもつべき条件について調べた.
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