研究概要 |
昨年構築をおこなった3種類のリンク関数の族に加えて,さらにコーシー分布の分布関数に基づくリンクから連続的に変化してゆくリンク関数の族を加え4種類のリンク関数の族の構築をおこなった.さらに,実際にデータが与えられた場合これらのリンク関数に基づくモデルの族の中からからどのようにモデルを選択するかの規準として,リンク関数の族の中に含まれるロジットリンク等従来のリンクで十分なのか,それともリンク族のそれ以外のリンクに基づくモテルが必要なのかを調べる検定方法め考案をおこなった。これにより,これらのリンク族に基づくモデルを考える必要性が明確となった。 一方,応答変数が二項反応であり,リンク関数が昨年度,今年度で考案したリンク族を含むような一般型リンク関数による一般線型モデルの適合度検定統計量の分布の漸近展開の研究に関して,今年度は特に,リンク関数が正準リンク関数であるロジットリンク関数である場合,つまりロジスティック回帰モデルの場合に,適合度検定統計量をデビアンス(対数尤度比検定統計量)を用いて検定する場合について考察をおこなった。その結果,連続分布を仮定したもとでのデビアンス検定統計量の下側確率の漸近展開式を導出することができた。また,この漸近展開式に基づき,デビアンス統計量にバートレット修正をほどこした変換統計量の構築をおこなった。この変換統計量は,デビアンスよりかなり少ない標本数でもカイ二乗分布に良く近似されることが期待される。
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