研究概要 |
応答変数が二項反応であり,リンク関数が一般型リンク関数による一般線型モデルの適合度検定統計量の分布の漸近展開の研究に関して,昨年度は,リンク関数がロジットリンクのみならず,補対数対数リンク等を含む一般型リンク関数による一般線型モデルにおけるデビアンスの下側確率の漸近展開式の導出をおこなった。 今年度は,その連続項に基づくバートレット修正変換統計量の近似の良さおよび検出力についてのデビアンス統計量との比較をモンテカルロシミュレーションを用いておこなった。その結果,ロジットリンクの場合と同様に検出力はほとんど変わらず,カイニ乗分布への収束が速い特性をもつことが示された。 また,今年度は適合度検定統計量をφ-ダイバージェンス適合度検定統計量に拡張した場合の検定統計量の下側確率の漸近展開式の導出をおこない,さらに,これらの連続項に基づくバートレット修正変換統計量の一般化である改良変換統計量を構築した。 φ-ダイバージェンス適合度検定統計量の具体的な例としてデビアンスを特別な場合として含むパワーダイバージェンス適合度検定統計量を用い,元の統計量と改良変換統計量のモンテカルロシミュレーションによる性能の比較をおこなった。その結果,パワーダイバージェンス適合度検定統計量において改良変改統計量は,カイニ乗分布への収束の速さおよび検出力において,デビアンスの場合と同様に非常に性能の良い統計量であることが示された。
|