今年度は、量子計算機を用いた攻撃に対して安全と期待される公開鍵暗号の安全性解析、また、関連するアルゴリズムを用いた新しい暗号方式の提案とその安全性解析について研究し、主に以下の3つの結果を得た。まず、量子計算機にして耐性があると期待される方式の安全性解析については、多変数暗号と呼ばれる公開鍵暗号の一方式であり、高速なデジタル署名方式である1IC方式と呼ばれるものに対して、最も一般的な条件の下で実用な攻撃アルゴリズムを提案し、実装実験渠により提案手法が効率的であることを示した。1ICへの攻撃法はFouque等によって既に提案されてはいたが、彼はパラメータ1が奇数の場合のみ詳しく扱っていた。我々め提案方式は彼等のものとは異なり、1が偶数奇数の双方に有効である(小椋直樹氏(首都大学東京)との共同研究る。2009年暗号情報セキュリティシンポジウム(2009)、暗号に関する国際会議IWSEC2008(2008)にで口頭発表)。次に、格子における最短ベクトルを求める問題の困難性にづくナップザック暗号の安全性評価について解析を進め、Smapling Reductionと呼ばれるアルゴリズムの改良法の提案およびその実装を行った。パラメータサイズが大きくなると実装そのものが困難となるた比較的小さなサイズのもにしか扱えなかったが、ある条件下では提法が高であることを実装実験により確認した(中村憲氏(首都大学東京)等との共同研究、日本応用数理学会論文誌(2008)に論文が掲載)最後に、楕円曲線を用いた秘密分散共有法に関する新しいアルゴリズムを提案した。これは、分散情報を楕円曲線上の点として表現する手法を用いたもので、Shamirによる秘密分散共有法の楕円曲線上ので自然な類似となっている(西遥氏(首都大学東京)等との共同研究、日本応用数理学会2009年春の研究部会連合発表会で口頭発表(2009))。
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