研究課題
今年度は、本研究の最終年度であったが、量子計算機を用いた攻撃に対して安全と期待される公開鍵暗号の安全性解析及び楕円曲線上のペアリング計算及び新しい暗号方式の提案等について研究し、主に以下の結果を得た。まず、量子計算機に関して耐性があると期待される方式の安全性解析では、代数曲面暗号の安全性の根拠となる求セクション問題と呼ばれるものに対するアルゴリズムを提案した。これは、Wuのアルゴリズムと呼ばれるものを用いてグレブナ基底計算を効率化したものである(2012年暗号と情報セキュリティシンポジウムにて口頭発表(2012))。また、代数曲面暗号の中でのでもASC04と呼ばれるものの最も一般的な条件下での攻撃法を提案した(JSIAM Letters(2011)に論文が掲載)。さらに、多項式環における多項式自己同型において、wildと呼ばれる写像の性質を利用して新しい多変数公開鍵暗号の提案を行った(2012年暗号と情報セキュリティシンポジウムにて口頭発表(2012))。次に、ペアリング計算に関しては、楕円曲線上のペアリング計算の新しい方法としてElliptic Netと呼ばれる数列を用いた新しい計算法が提案されていたが、これを用いた効率的なペアリングの計算アルゴリズムを提案し、実装も行った(国際会議IWSEC2011にて口頭発表(2011))。また、既存のペアリング計算手法であるMillerのアルゴリズムについて、正規化と呼ばれる操作についての詳しい解析を行い、現在標準的に用いられているBN曲線等を用いる場合は、必ずしも正規化は必要ないことを示した。(IEICE Transaction(2012)に論文が掲載)。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
IEICE Transactions on Fundamentals
巻: Vol.E95-A ページ: 196-203
JSIAM Letters
巻: Vol.3 ページ: 53-56
Proceedings of 6^<rd> International Workshop of Security (IWSEC2011)
巻: LNCS7038 ページ: 65-78