研究概要 |
多群2項モデルにおいて,比率の間の差,比,オッズ比に関しての同時信頼区間について論じた.日本の統計書の中には,分散の等しい正規分布を仮定した多群モテルにおける平均のDunnett(1955)の多重比較法と同じ構成法の手法を紹介しているものもあり,同時検定や同時区間推定の理論としては誤りである.分散の異なる正規分布を仮定した多群モデルにおける平均の多重比較法の理論との関係が強い.すなわち,この問題は,Behrens-Fisherの多重比較問題の1部分と捉えることができた.比率の間のすべての差の同時区間推定法が,Hochberg and Tamhane (1987)で述べられているが,信頼区間が-1または1を含む矛盾を起こすことがある.この矛盾を解消するために.ロジット変換などの対数変換したパラメータの同時信頼区間を,漸近理論により構築し,逆変換により,対数変換前のパラメータめ同時信頼区間を提案する.比率の間のすべての差の同時信頼区間を構成する統計量に関する漸近分布について.上界と下界を与える分布を導き,保守度が小さいことを示した.また対照群との多重比較法に関してはBonferroniの不等式による手法が述べた. 乱塊法モデルにおいて頑健なM統計量を基に,ブロック数を無限大とした多重比較検定と同時推定の漸近理論を構築し,分布のくずれに対する頑健性を述べようとしたが,うまくいかないところが多くまだ論文としてまとめるにいたらなかった. 前半部分の手法について昨年度に引き続き,これらの手法を使えるよう実行可能形式のプログラムを,ウェブサイトを介してダウンロードできるようにした.
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