研究課題
本年度の研究計画は、大きく言って、確率過程の理論における双対性であった。具体的には(1)多重マルコフガウス過程の双対性と、(2)ガウス型とボアソン型の間の双対性である。(1)については、予想以上に興味深い結果が得られて、国際研究発表誌IDAQPに投稿し、印刷された。内容は次のように説明できる。単純マルコフ性の拡張としての多重マルコフ性を如何に理解し、定義するかは以前からの課題であって、ガウス過程の場合にのみ、妥当な試みがあったが、従属性の研究の上では十分とは言えなかったと考えられていた。これについては、単純マルコフ性の重要な視点から、現在の値を知ったとき、過去と未来とが独立になるという性質がある。これを、より厳密に確率論的に理解し、多重マルコフガウス過程の場合に一般化することを試みた。ガウス過程の場合に定義された従来の多重マルコフ性の定義の趣旨を生かして、過去と未来との間の双対性の考え方を取り入れ、一般的な満足すべき結果に到達した。そこでは、ガウス型超過程の世界で考える必要がおり、Hida distribution theoryを応用することになった。(2)ガウス型とポアソン型のノイズの双対性は以前に回転群の表現と対称群の表現との間特殊な双対性を議論したが、今回はこの二つのノイズの超汎関数に、それぞれT-およびS-変換を適用して両ノイズを比較することを試みた。副産物として、ボアソン型を複合ポアソンノイズとして、intensityをパラメータにし、時間をパラメータにとるガウス型と比較するのがよいことを見出した。
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