研究概要 |
具体的に得られた研究成果は主として次の点が上げられる: 1. 昨年に引き続き対称性や非対称性に関するモデルを提案した.特に正方分割表の主対角線と逆対角線に関する二重の線形非対称性の構造を示すモデルを提案した. 2. 多元分割表において周辺の非対称性の構造をもつモデルを提案し,そのモデルを用いて周辺対称モデルの分解定理を与えた.さらに,モデルの適合度検定統計量の直交分解定理を与えた.そしてモデルとモデルの分解の有用性を理論面と具体例に基づく応用面の両面から示した. 3. 尺度の研究に関しては,正方分割表において累積確率の対称性からの隔たりを測る尺度を提案した.また,説明変数の値を知ることが目的変数の値を知るのにどれくらい効果的かを測る尺度も提案した.また,尺度は未知なので,それらの尺度の推定法を与え,推定尺度の近似分散を理論的に求め,尺度の信頼区間を理論的に導出した.さらに,具体的ないくつかの実データへ適用し,提案した尺度の有用性を示した. 4. グラフィカルモデリングに関する文献調査と基礎研究を行い,基礎知識を深めた。 5. 情報幾何学に関する文献調査と基礎研究を行い,基礎知識を深めた. 6. 研究成果を論文にまとめ海外の学術専門雑誌へ投稿し,査読結果に基づき,修正した. 7. 研究成果を日本数学会や統計関連の学会そして統計関連のシンポジウムで発表した 本補助金により,着実に目標の研究が進んでいる.分割表統計解析の分野へ新しい解析法を与えた.
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