研究概要 |
本研究課題の目的は基礎科学の諸分野に登場する微分方程式、差分方程式の境界値問題のグリーン関数を求め、ソボレフ不等式の最良定数を求めることである.平成22年度に得られた主要な結果は以下の通り. 1.棒の撓み問題を記述する4階常微分方程式の16種類の自己共役境界値問題についてグリーン関数を求めて,その正値性及び相互の大小関係を比較,厳密に証明した.これは論文Japan J.Ind.Appl.Math.18(2001)pp.543--566の拡張及び別証明を与え,本研究結果は現在論文を作成し,投稿中である. 2.棒の撓みを記述する4階常微分方程式でパラメータが特殊な場合はグリーン関数を求めることは不可能であるが,対称直交化法を用いて広義グリーン関数を求め、対応するソボレフ不等式の最良定数と最良関数を求めた.本研究成果はFar East Journal of Applied Mathematicsに掲載が決定した. 3.2M階常微分作用素に対する固定端境界値問題のグリーン関数を求めて,対応するソボレフ不等式の最良定数と最良関数を具体的に求めた.本研究結果はBoundary Value Problemsに掲載が決まった. 4.正4,6,8,12,20面体上で離散ラプラシアンを考え,対応する離散ソボレフ不等式を導出して,その最良定数と最良関数を計算した.最良定数は離散ラプラシアン行列のペンローズムーア一般化逆行列(グリーン行列)の対角線値の最大値で与えられ,同時に離散ラプラシアンの0を除く固有値の調和平均で与えられた.本研究成果は2011年3月応用数理学会において発表し,現在論文を作成中である.
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