研究概要 |
研究代表者が行って来た白色雑音解析の中で、飛田の提唱したmulitiplicative renormalizationを古典的な実軸上の確率測度μに適用して、その直交多項式の母関数を調べる系統的な手法を解明しつつある。研究代表者自身およびH.-H. Kuo, Suat Namliとの共著で、正規化因子h(x)= exp[x]とh(x)=1/(1-x)に対して、この手法を適用可能なμのクラスを完全に決定した。本課題では、正規化因子h(x) = (1-x)^c (c<1/2)に対して適用可能なμのクラスを決定することを第一目標とした。 平成20年度の研究計画では、正規化因子h(x) = (1-x)^(-1/2)の場合の決定を目指していたが、海外共同研究者のH.-H. Kuo等の提案した手法により、早い時期に解決を見ることができ、論文を著した。続いて、h(x) = (1-x)^(-2)の場合の結果を国際会議で発表することができ、Proceedingsに投稿中である。さらに、一般のcの場合にもμのクラスを完全に決定することに成功し、論文を準備している。従って、平成21年度の研究計画をさらに進めたステージに変更することにしたい。今まで、あまり知られていない上記以外の正規化因子について、調べることを目標とする。h(x)の候補としては、超幾何関数が考えられる。特殊関数と関連した全く古典的な問題ではあるが、解決は非常に困難ではないかと考えている。予定通り、自由確率論など数理物理学に関係した視点から、この問題にアプローチすることで、統一的な視野で研究することの可能性の追求には、この面に幅広い見識を持っている分担者の岩田の協力に期待している。また、連携研究者の協力を得て、one-mode Fock空間の研究への応用、ウイナーカオスのシミュレーションなども進めたい。
|