研究課題
応用面に研究の重点をおいた第3年度の主な目標は、最適制御問題に対する効率的な計算手法の開発、また測度空間における一般の非線形形式に対する理論の構築であった。今年度は特に後者について大きな進展があった。前者については最終年度にかけて引き続き考察を続ける。さて、情報理論における通信路容量の問題は測度空間上の非線形凸計画問題の一例である。通信路容量とは雑音のある通信路において単位時間に送ることができる情報量の上限であり、具体的には確率測度として表現される入力分布と通信路自体により定義された相互情報量を適当な制約のもとで入力分布に関して最大化することによって得られる。通信路容量を達成する入力分布は離散分布になることが多いということが報告されているが、既存の研究はすべて複素関数論に基づいているため、一入力一出力系にしか適用できない。本研究によれば、半無限計画の理論を用いて通信路容量を達成する分布が離散的になる理由を明らかにすることができ、さらに他入力多出力系すなわちベクトル通信路へ適用する道が開ける。また、もう一つの実用的な応用として、スポーツのリーグ戦において特定順位以上あるいは以下を確定する最小の勝数(クリンチ数)あるいは敗数(エリミネーション数)の計算方法について考察し、勝率に基づいて順位が定まるプロ野球リーグ戦に適用した。これは非凸2次のロバスト最適化問題である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (2件)
最適化:モデリングとアルゴリズム24(統計数理研究所共同研究リポート267)
ページ: 15-23
Book of Abstracts, The 8^<th> International Conference on Optimization : Techniques and Applications
ページ: 98