研究課題/領域番号 |
20540152
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐野 隆志 山形大学, 理学部, 教授 (20250912)
|
キーワード | 行列 / 作用素 / レウナー行列 / 行列解析 / 作用素論 / 条件付き負 |
研究概要 |
23年度は、R.Bhatia氏との共同研究を発展・一般化させた、日合文雄氏との共著論文 Loewner matrices of matrix convex and monotone functions(to apPear in J.Math. Soc. Japan)の出版に向けた校正や、Audenaert の結果を用いてAnti-Loewner行列の条件付き負性の特徴づけを得ることができた、日高知佳良氏(大学院修士課程2年生)との共著論文 Conditional negativity of anti-Loewner matrices (to appear in Linear and Multilinear Algebra)の作成・校正を行った。研究発表としては、数理研の研究集会「スペクトル、数域などの作用素の幾何的特性量を用いた作用素の構造研究」にてAnti-Loewner matrices; Numerical radius and unitarityというタイトルで、日高氏は我々の研究を、そして私は内山敦氏との以前の研究を紹介し、また、作用素論・作用素環論研究集会ではAnti-Loewner matricesについて、というタイトルで、日高氏との共同研究やAudenaertの結果を紹介した。更に24年3月の日本数学会年会では、関数解析学特別講演を依頼され、Around Loewner matricesという題目で、R.Bhatia氏、日合氏、日高氏との共同研究を総括して紹介した。一方で、R.Bhatia氏の著書Positive Definite Matricesの論説を作成し、雑誌「数学」に掲載予定となっている。本年度も大学の講義では、自著「マトリックスの世界」を用い、学部生・大学院生の教育に役立て、24年度以降の大学院生3名および卒業研究生3名の育成につなげている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定値内積空間上の幾何構造解析については、研究論文発表および研究集会などでの招待講演を毎年順調に重ねており、計画以上の進展を続けている。一方、不定値内積空間上の幾何構造解析については、世界的な研究の進展を十分理解してはいるものの、成果を上げるには至っていない。従って、(2)の区分にあると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
定値内積空間上の幾何構造解析については、これまでの研究を更に推進し、関連する研究対象での成果を結実させるよう努める。不定値内積空間上の解析については、時間などの配分バランスを考慮する。前者の研究に更にウエイトを置くべき事態になれば、適宜対処してゆきたい。
|