研究概要 |
今年度は主に,半線型熱方程式に対する藤田型の爆発臨界指数の研究を継続し,非線型項を未知函数uの冪とuの対数型函数の積の形とした半線型熱方程式 u_t=Δu+u^{p^*}f_p(u)を,開凸錐に一般放物型領域の分だけ摂動を加えて広めにした領域x_n+x_n^{1/q}>|x'|上で考察した.以前に一般物型領域の場合に開発した直接優解・劣解を構成する手法を拡張して,以下の結果を得た:冪の指数Levine-Meierの臨界指数であるp^*=1+1/(N+γ)に固定したとき,対数型函数の部分の指数p(第2指数)が,以前の研究で発見されていた2/qという値(第2臨界指数)を境目として,pがこれより大きいときは十分小さな非自明非負初期値に対して正値時間大域解が存在する.他方pがこの値より小さければ,正値解の最大値は必ず有限時間で爆発する.この研究の概要は現在学科のテクニカルレポートだけに記されているが,細部を詰めてしかるべき専門雑誌に投稿する予定である.また,逆に開凸錐から内側に減らす方向に一般放物型領域による摂動を加えたものについても,研究を進めており,最終報告書にはテクニカルレポートとしての再録が間に合うことを期待している. この研究のために数値計算の環境を構築したが,その稼働検証を兼ねて関連研究として,非静力学モデルを用いた六甲山系の冬季季節風の局地的な流れ場の計算や,2年くらい前に新たに発見された完全準同型暗号の実証実験,オンライン筆跡鑑定に4次元空間の曲線の曲率計算を用いる実験などを行い,一定の成果を得た.これらについては関連する研究会で報告した.
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