研究課題/領域番号 |
20540164
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
清水 扇丈 静岡大学, 理学部, 教授 (50273165)
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研究分担者 |
菊地 光嗣 静岡大学, 工学部, 教授 (50195202)
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キーワード | 最大正則性 / 自由境界問題 / Navier-Stokes方程式 / R-有界性 / 表面張力 / Fourier-multiplierの定理 |
研究概要 |
1. 表面張力を考慮に入れた非圧縮性粘性流体の自由境界問題のLp枠での解析 自由境界値問題をラグランジュ座標系で定式化して固定境界に直すと、Navier-Stokes方程式は準線形となる。スケール不変なLp関数空間でこの非線形問題解くために、線形化方程式に対するLp最大正則性の定理を利用する。本年は、特に1相問題及び2相問題の半空間のモデル問題の精密な解析を行いLp最大正則性を証明した。ラプラス・フーリエ変換・逆変換を用いて積分作用素により解を表示する。Stokes方程式の半空間モデル問題に現れるすべての積分作用素の型を分類し、積分作用素のR-有界性を示し、作用素値Fourier-multiplierの定理を適用してすることによりモデル問題の解のLp最大正則性を示した。本研究は柴田(早稲田大学)との共同研究である。さらに、自由境界がグラフで与えられている場合の任意の初期値に対する時間局所解の一意存在を、縮小写像の原理により証明した。 2. 表面張力を考慮に入れた非圧縮性粘性流体の自由境界問題の非安定性の証明 Padula、Massari (Ferrara大学)との共同研究で、天井についた水滴が落ちる現象を、非圧縮性粘性流体の自由境界の非安定性として捉えた。非線形問題に対するエネルギー恒等式から汎関数を構成しこの汎関数が指数増大することを示して解の非安定性を証明するが、エネルギー恒等式で不足する初期表面からの高さ関数を人為的に構成して加えることにより汎関数の指数増大性を示した。この結果、摂動初期エネルギーが負のとき解は非安定であることが証明された。
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