研究概要 |
Jason Metcalfe (North Carolina大学Chapel Hill校),Hart F. Smith (Washington大学),Christopher D. Sogge (Johns Hopkins大学),Yi Zhou(Fudan大学)と共同で,障害物の外部における波動方程式の初期・境界値問題の解が満たす時空大域的Abstract Strichartz型評価式の研究を行ないました.その応用として,空間3次元における,半線形波動方程式の初期値問題に対する小さな解の時間大域一意存在に関するFritz Johnの古典的仕事を外部領域の場合に拡張することに成功しました.この15年間で,Soggeの研究グループにより空間次元が3のときの,障害物の外部における非線形波動方程式の初期・境界値問題に対する時間大域解の一意存在の研究は大きく進展しました.これらは本質的にはベクトル場の方法やStrichartz型評価式の方法という解析方法が障害物のある枠組みでも整備されたことに依ります.しかし,このような方法を整備する過程で用いられた考え方だけではJohnの仕事を外部領域に拡張することは出来ませんでした.そこで本研究ではSmithとSoggeによる3以上の奇数次元における外部領域でのStrichartz型評価式を偶数次元の場合に拡張したNicolas Burqの方法を発展させると重みつきStrichartz型評価式が外部領域の場合に得られることにまず着眼しました.そして,それにLi-Zhouの方法を融合させて上述の通りにJohnの仕事を外部領域の場合に拡張することに成功しました.長く未解決であったこの問題を解くことが出来たことは意義深く,専門家に重要性を認めていただける成果であると思います.
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