研究概要 |
本年度は,ボレル総和法を拡張したmoment summability法の偏微分方程式系への応用,およびボレル総和法の超級数に対する拡張と完全積分可能でないハミルトン系の積分の特異性の解析を行った.前者に関しては,ウルム大学(ドイツ)に8, 9月に滞在し,ウルム大学のBalser教授と共同研究を行い、成果は共著論文の形で出版した.Moment summabilityとToeplitz作用素の方法により,non Kowalevskian方程式の発散解を解析する方法が得られた.後者に関しては,特異性を持つ超級数に対して,ボレル総和法の手法を拡張できたことに意義があり,関連する国際会議を6月に数理解析研究所で研究代表者として開催し,講演も行った。2010年3月には,日本数学会において,このテーマで研究報告,San Diego大学(USA)で開催された国際会議で招待講演をおこない,研究論文として出版した.これらの研究の応用として,ベクトル場の標準形への変換の際に小分母の問題がおこるとき,Diophantin条件を仮定することなく,角領域での漸近展開可能性を証明できた.この結果はこの方面での世界で最初の成功になる.(論文準備中).その他の関連研究として,国立環境研究所の田中喜成氏と環境リスク評価モデルの漸近解析の研究を引き続いて実行し,3種系Lotka-Volterraモデルの大域漸近解析を研究した.(論文準備中).また,2010年1月に武漢大学(中国)のLiu Weian教授を招聘し,彼のグループと3種競争系モデルの漸近解析を共同研究した.(来年度に継続予定).さらに,広島大の滝本氏と発散解の構造について共同研究をした.
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