研究概要 |
(1) 量子情報理論の研究において重要な役割を果たすWigner-Yanaseによるskew information及びそれをDysonが拡張したWigner-Yanase-Dyson skew informationを研究することは重要な課題である.本研究では新たに一般化したWigner-Yanase-Dyson skew infomationを導入し,不確定性関係を表わす不等式をトレイス不等式の立場から研究を行った. (2) 量子情報理論の研究においては,情報量の評価のために,行列やtrace class operatorのトレイスに関する不等式を一般論の立場から研究することは重要である.以前,2次の行列について,正定値行列のトレイスについてある種の不等式を証明したが,さらに高次の行列について同様な不等式が成立しないかどうかを理論的に究明すると同時に,数式処理システムをもちいて実験的研究を行った. (2) 数理制御理論にあらわれる行列・作用素について,情報理論との関連のもとで,ある種のノルムに関する不等式とアルゴリズムに関する研究を行った.その際,ヒルベルト空間上の作用素に関する知見を利用した.
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