研究課題
1. 2次元ユークリッド平面上の周期的Aharonov-Bohm磁場および一様磁場を持つシュレーディンガー作用素のスペクトルの構造を調べた。最小ランダウレベルについては、その存在条件や固有空間の構造、また連続スペクトルの出現など、基本領域をつらぬく磁束の量によって相転移的な現象が生じることを調べてきたが、さらに高エネルギーのランダウレベルについて調べた。第二ランダウレベルについては、基本領域をつらぬく磁束の量による固有値の出現の条件求めその固有空間の決定をし、閾値においては絶対連続スペクトルが現れることをしめすことができた。2. 上半平面上の格子点、すなわちSL2(R)の離散部分群によるある点の軌道上にAharonov-Bohm磁場を配置し、さらに一様磁場をもつシュレーディンガー作用素のスペクトルの構造を調べた。特にランダウレベルの存在条件や固有空間の構造を調べ、単位面積当たりの磁束の平均量によってランダウレベルの存在条件が表されることを示した。またその条件において曲率の寄与の表れ方を求めることができた。また離散部分群によってきまるリーマン面に応じて格子点上にAharonov-Bohm磁場がどれくらい存在しうるかという問題は基本的なものであるが、これについて現在調べつつある。3. ランダム磁場を持つシュレーディンガー作用素の状態密度関数のスペクトルの下端での漸近挙動、いわゆるリフシッツ・テイル(スペクトルの下端での状態密度関数の立ち上がりが指数関数的に穏やかである)という現象について基本的な結果を得たが、さらに追及している。これはAnderson局在(固有値が稠密に存在し、対応する固有関数が指数関数的に減衰する)の可能性を示唆しており、この方向についても調べている。
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Annales de l'Institut Fourier 59,2
ページ: 659-689
European Journal of Combinatorics 30
ページ: 570-585