研究課題/領域番号 |
20540178
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太田 昇一 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (70107176)
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研究分担者 |
井上 淳 福岡大学, 理学部, 教授 (50078557)
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キーワード | unbounded operator / deformed operator / q-normal / q-circular |
研究概要 |
本年度の研究計画に従って考察・議論を遂行し、q-正規作用素の典型的な性質「自己のスカラー倍にユニタリ同値になる」(この性質を持つ一般の閉作用素を「性質Qを持つ」という。)に関して以下のような進展が見られた。q-正規作用素を含むより広い範疇のq-circular作用素(q=1の場合は標準のcircular作用素になり、重み付きの両側シフト作用素が性質Qを持てば、q-circularとなる。)について考察した。最初に「稠密な定義域を持つ閉作用素がq-circularになるための必要十分条件は、その作用素が性質Qを持ち、かつcircularとなることである。」ことが判明した。さらに、この場合、作用素の極分解に現れる等距離作用素と絶対値作用素について前者はcircularになり、後者は性質Qを持つことが示された。この事より、非有界作用素に対するcircularなる性質について調べる事とした。稠密な定義域を持つ既約な閉作用素がcircularならば「付随するprojective表現もどき」を得ることが出来る、即ち、circularityを規定するユニタリ作用素の族と実数全体からなる加法群上のmultiplierが存在して、付随するprojective表現もどきが構成される。特に、ヒルベルト空間が可分で、上記のユニタリ作用素族が可測ならば、実数上のmultiplierはtrivialなので、このユニタリ作用素族は強連続1径数ユニタリ群になる。これらの諸結果を踏まえて、circularityを規定するユニタリ族が強連続1径数ユニタリ群で与えられる場合、その閉作用素を強circularとよびその特徴付けを、付随する自己共役作用素のレゾルベントとの可換性によって与えた。上記の内容の一部はポーランドで9月に開催された国際会議における講演の中で発表した。
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