代数的関係式xx^*=qx^*x(qは1でない正数)は量子群・量子環の理論における礎石である。多くの量子*-環の定義関係式の一つとして現れ、この関係式および他の類似関係式は、これまで主として代数的見地から研究されてきた。上記の関係式を満たすヒルベルト空間上の作用素をq-正規作用素という。本研究は従来の作用素論の範疇に現れなかったこの作用素を含む量子変形(q-変形)作用素族に対するスペクトル理論の構築を図る。特に、変形パラメータqがどのような条件のもとで、q-正規作川素が標準のスペクトル解析可能な作川素である標準の正規作川素へ拡大されるのかについて考察し、その応川として量子群・量子環の理論における作用素表現の解析的研究を進展させる事を目的とする。
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