研究概要 |
1. 阿部誠は,被約シュタイン空間Xにおいて,ピカール群Pic(X)の部分半群Gに関する一般化された有理型近似定理を証明することにより,Hirschowitz(1971)とAbe(2005)による異なるふたつの有理型近似定理を統合した。その詳細は雑誌Toyama Mathematical Journalに掲載予定である。 2. 阿部誠は,更に,シュタイン空間における有理型凸性に関連して,純n次元被約シュタイン空間Xの開集合Dが2条件(1)H^k(D,O)=0(2≦k≦n-1);(2)正の次元の複素リー群Gが存在して,H^k(D,O^G)→H^k(D,(E^∞)^G)は準単射である,をみたすための必要条件に関する新しい結果を得て,特に,Xがシュタイン軌道体の場合に,Dが局所シュタインであることを示した。このことは,2次元シュタイン多様体の領域のシュタイン性のOka-Grauertの原理による特徴付けに関するKajiwara-Nishihara(1979)の定理の高次元化であるとともに,シュタイン軌道体の場合への一般化である。 3. 島唯史は,2次元複素アフィン空間C^2の2次一般線形群GL(2,C)の小型有限部分群Gによる商空間C^2/Gの極小正規解析的コンパクト化における境界の重みつき双対グラフの分類に関連する研究を発展きせるための試みを開始した。
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