平成20年度に研究を遂行したのは、主に以下の2テーマについてであり、科学研究費補助金を有効に活用させて頂いた。 (1)サンプリング近似とその応用: 連携研究者、並びに国内の調和解析関連の研究者、海外の研究者との研究交流を通じて、フーリエ解析の手法がサンプリング近似に応用できることがわかった。即ち、シャノンのサンプリング関数を修正した基底関数や、次数の異なるスプラインから適当に組み合わせた基底関数、いずれを用いても、与えられた信号(関数)のサンプリング近似関数が、十分良い近似を与えることを示すことができた。ここで、信号の属する空間もベゾフ空間に一般にして最良の誤差評価を得た。その応用として、株価のような連続変動関数の正則指数を、2進点における観測値だけで上から評価する公式を導いた。 (2)数値計算の調和解析: 共同研究者や連携研究者らとの共同研究により、異質な媒質が接触した領域で、二次の近似精度を持つ一般化ラプラシアンの数値計算法を研究した。 まず、1次元の場合に、接触点の近傍で高次差分公式の導出法を発見し、その数値シミュレーションを行って研究論文にまとめた。次に、2次元での差分公式の一つの求め方について中間的な結果を応用数理学会で発表した。 これは完成をめざして現在も研究中である。
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