研究概要 |
1. Hardy空間上の合成作用素の研究として、「完全連続性」の特徴付けを考えた。この性質は作用素のコンパクト性の研究から派生したものだが、現在でも十分な解析は准んでいない。しかし、コンパクト性、弱コンパクト性との比較や、Dunford-Pettisの性質といった函数解析学の重要な概念との関連がある重要な性質である。大野は一乗可積分な解析関数のHardy空間で合成作用素の線形結合の場合の特徴づけを試み、その部分解を新潟大学で開催の14^<th> Analytic function spaces seminarで発表したが、そこに参加していたNguyen Quang Dieu(ベトナム、ハノイ教育大)が興味を持ち、共同研究を開始し、完全な解答を得た。 2. Bloch空間においては、合成作用素と微分作用素の積についての有界性、コンパクト性の完全な特徴づけを行った。Bloch空間に微分演算を考えることは、最近活発に研究されているBloch-type空間やZymund空間への有効な手段を提供することになった。 3. disk環上における荷重合成作用素の差のコンパクト性を特徴付けた。この問題については、泉池、細川卓也らと共に,有界な解析関数空間上で特徴付けを行ない、その結果は関係研究者らにより、無限次元空間に拡張されていた。disk環では有界な解析関数空間上の手法は使えないが、コンパクト性、弱コンパクト性、完全連続性の同値性を示し、そのための条件を与えた。 4. 泉池は、多変数Hardy空間における不変部分空間を特徴付けるBeurling typeの定理のShimorinによる証明を、基本的な手法だけで別証明した。
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