研究概要 |
(1)(実解析的線型)偏微分方程式糸の初期値・境界値問題を扱う際, Gevery函数及びultradistributionの範疇で可解性及び解の一意性を考えると,佐藤超函数の場合と異なり,単に(弱)双曲型どいうだけでは条件が足りない事が以前から知られていた.それに関連して,低階項に非正則度と呼ばれる量が定義されており,単独方程式や,特別な形の方程式系については, Gevrey増大度のクラスに応じた非正則度の条件を与えれば初期値・境界値問題がうまく定義出来る事が知られている.私は,その一般化として,一般的な偏微分方程式系,即ちD加群に対する非正則度として,本多尚文氏(北海道大学)による定義を採用し,以下の結果を得る事が出来た. (a) Geverey増大度のクラスに応じた非正則度の条件を方程式系に課せば,対応するGevery函数及びultradistribution解に対して初期値,境界値を取る事が可能となる.(b)更に(弱)双曲型という条件の下で, Cauchy問題及び境界値問題の一意可解性が証明出来る. 以上の結果は,初期面の余次元が一般の場合(高余次元)でも成り立つ事が証明出来た.証明には, Laurentによる第2超局所解析の手法と,超局所台(microsupport)の理論を用いる. これらの結果は,京都大学数理科学研究所研究集会「完全WKB解析と超局解析」(2008年5月)で発表され,そのproceedingで概要か公表予定である(論文投稿準備中).(2)解析的範疇の無限階擬微分作用素の表象解析に関して,その基礎的部分について未整理,不完全な点がある事が最近発見された.これに関連して, Gevrey族の無限階擬微分作用素の可逆性について考察を進めた.
|