研究概要 |
1. Blind Source Separation(複数のソース信号が混じっている観測信号から元のソース信号を分離する)の問題で,時間差をもって混ざっている場合(spatio-temporal mixture problemの簡単な場合)について,東京理科大の佐々木文夫教授との協力のもと,解析信号(analytic signal)になっているウェーブレット関数を用いたウェーブレット変換による時間周波数情報の比が実数値になる部分を用いる方法について,研究をまとめた.具体的なアルゴリズムの詳細,理論的な裏づけの考察,シミュレーションについての結果を論文にまとめ,Applicable Analysisに投稿,すでに掲載が決定した.さらに,この時間周波数情報の比の位相も利用することで,時間差がサンプリング間隔の整数倍とはみなせない場合も扱う手法の考察を進めた.シミュレーションではかなりうまくいっているが,数学的理論づけの困難が残っている. 2. 信号のフーリエ像の「中心」,「幅」について,どのような定義がもっとも適切であるかという問題について,数学的観点およびウェーレット解析の応用の観点から更なる考察を進め,さらに,関連して生じる数学的問題,特に「不確定性原理」の修正について考察した. 3. 信号とそのフーリエ変換について,両方をできるだけ局所化させる場合,重要な役割を果たす偏長楕円体波動関数(prolate spheroidal wave function)について,不確定性原理との関係で調査を進め,さらにBeylkinの論文などにおける使われ方(数値計算への応用)などについて,数学的にあいまいな点などを考察した.
|