研究概要 |
本年度の研究目的は、2階楕円型非線形偏微分方程式に対するポテンシャル論的研究を発展させること、さらに、優重調和関に対するポテンシャル論的研究を発展させること、変動函数指数をもつ函数空間についての考察を行うことである。 小野は,2階楕円型非線形偏微分方程式に対するポテンシャル論的研究を行った。特に,p-ラプラス作用素に低階項を加えたタイプの2階楕円型非線形偏微分方程式-divA(x, grad u)+B(x, u)=0ののヘルダー連続解に対する除去可能集合について調べた。その際,右辺にラドン測度fを含む2階楕円型非線形偏微分方程式-divA(x, grad u)+B(x, u)=fの解のヘルダー連続指数がラドン測度fに条件を与えることによって具体的に決定できることを使った.上記結果は,ラプラス方程式の解,すなわち調和関数に対するCalresonの結果を,2階楕円型非線形偏微分方程式-divA(x, grad u)=0のヘルダー連続解に対するKilpelainen, Zhongの結果を拡張したものである。 二村は,ラプラシアンを2回繰り返して正となる関数である優重調和関数のリース分解定理を与えた。特に、単位球上の重調和関数の球面積分平均が境界との距離の負べきで評価されるとき、優重調和関数を一般化したポテンシャルと重調和関数の和で表した。 下村は,Orlicz関数のリースポテンシャルに対するソボレフ型の不等式を示し、応用として、リースポテンシャルの連続性について調べた。また、変動指数をもつOrlicz空間において、Hardy-Littlewoodの極大関数の有界性を示し、応用として、ソボレフの不等式を示した。
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