研究概要 |
本研究の目的は,準線形楕円型偏微分方程式及び準線形放物型方程式の解空間の構造を明らかにすることである.特に,以下のような3種類の特異偏微分方程式を研究する (1)係数が境界に特異性を持つ楕円型方程式についての研究を行う.係数が領域の境界に特異性を持っていても零ディリクレ境界条件のため,滑らかな解の存在が期待できる.従来の研究は,領域が単位球の場合であり,係数関数がべき乗の特異性を持つものであった.これを一般の領域に拡張し,さらに一般の特異性を持つ係数関数を考察することが本研究の目的である (2)係数関数が特異性を持つ1次元pラプラス方程式に対して,解の分岐が起きることを証明する.微分作用素が準線形であるため,リアプノブ・シュミットの方法が使用しづらい.そのため写像度を利用し,Rabinowitzの大域分岐理論を使って分岐を示す (3)無限大ラプラス作用素を持つ放物型方程式は,粘性解の理論により,解の存在・一意性・大域的存在が既に知られている.この方程式の解が時刻無限大で減衰することを証明し,その減衰度が時刻の負べき乗であることを証明し,それが最良指数であることを示す.さらに解の漸近挙動及び適当な変数変換の下での定常解の安定性を調べる
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