研究課題
Cスター環上の流れを物理系の時間発展としてとらえる立場から調べることを目標として、流れの内部摂動での普遍量について考察した。よく知られた普遍量として、Cスター環と流れによる接合積とその上の双対流れがある。(これは竹崎高井の定理により、完全な普遍量である。)現在Cスター環の分類論が進展していることに鑑み、まずこの接合積のCスター環としての特徴づけへの第一歩として、そのトレースすべてからなる錐を、流れそのものから決定することを試みた。無限に広がった物理系では当然に満たされる条件のもとで、これはもとの流れに対する平衡状態と完全に対応する。(Cスター環を特徴づける性質として、K理論、イデアル構造、トレース構造の3者がよく知られている。第1の観点からは、コンヌの理論により、流れの性質をくみ取ることができない。第2の構造については前年に、原始イデアルが双対流れのもとで単調であるための性質を調べた。基本的にはもとの流れに対する基底状態と天井状態から決定されると思われるが、詳細は分からない。イデアル構造はトレース構造とまったく独立というわけではない。)また、今の場合、イデアル構造の複雑さから、これだけでは特徴づけが不可能なことが予想される。これは70年代からこの方面の研究者の関心事であると思われるが、今のところ新たな普遍量は見つかっていない。そのほかに準対角的流れについても考察した(これはある種の有限次元空間での近似可能性を表す)。AF流れ(正確に有限次元Cスター環上の流れで近似できる流れ)を規定するかもしれない性質として、強準対角的流れ(どういう表現も準対角的であるという条件をみたす流れ)が有望であると考える。ただしこれはAF流れよりは緩い条件であるが、両者の正確な関係はまだ分かっていない。その他有限次元空間上の流れでの近似という性質には幾通りもの定義が可能であると考える。
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Publications of RIMS, Kyoto University 45
ページ: 451-473